
就業規則の作成・変更手順
就業規則は、社会情勢の変化や法令改正、会社の経営状況の変化などに応じて、適切に見直され、作成・変更される必要があります。
作成・変更の手順は大まかに以下のような流れになると考えられます。
- 就業規則(変更)案の作成: 変更の場合は変更が必要な箇所を特定し、具体的な変更内容を検討し、新しい条文を作成します。この際、労働基準法や労働契約法などの関連法規に違反していないか、十分な注意が必要です。就業規則案は、就業規則全体の最新版を作成するとともに、変更の場合は新旧対照表を作成すると変更点が明確になります。
- 労働者代表の選出と意見聴取: 労働組合がない場合は、従業員の過半数を代表する者(過半数代表者)を選出する必要があります。選出は、投票や挙手など、民主的な方法で行う必要があります。また、管理監督者は過半数代表者になることはできません。選出後、変更案の内容を労働組合代表者または過半数代表者に説明し、意見を聴取します。聴取した意見は、「意見書」として書面に記録します。
- 就業規則変更届の作成と必要書類: 厚生労働省のウェブサイトなどで提供されている様式を参考に、「就業規則(変更)届」を作成します(ページ下部リンク)。提出書類として、就業規則(変更)届、意見書、変更後の就業規則を用意します(持参、郵送の場合は2部用意します)。
- 労働基準監督署への届出: 作成した就業規則(変更)届と必要書類を、所轄の労働基準監督署に提出します。提出方法は、窓口への持参、郵送(返信用封筒を同封)、またはe-Govによる電子申請が可能です。
- 従業員への周知: 変更届を提出した後、速やかに変更後の就業規則の内容を従業員に周知します。周知の方法は、事業所の見やすい場所への掲示、書面の交付、電子データでの閲覧可能にするなど、いずれかの方法で行う必要があります。
社労士を利用すれば、社労士が変更案が法令に違反していないかの確認をしてくれます。
また、社労士が就業規則の作成を行なったり、労働基準監督署への提出を代行してくれる場合もあります。
周知においても、経営者に代わって説明会の場で社労士が説明を行うを行うことも考えられます。
就業規則変更時の留意点
就業規則を変更する際、労働基準法に違反しないよう配慮することに加え、従業員にとって不利益となる変更を行う場合には、慎重な対応が求められます。
不利益な変更がある場合
労働契約法では、使用者は労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、原則として労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできないと定めています(労働契約法9条)。
しかし、変更後の就業規則の周知と、その変更が合理的なものである場合には、例外的に不利益変更も有効と認められることがあります(労働契約法10条)。
合理性の判断は、以下の要素を総合的に考慮して行われます:
- 労働者の受ける不利益の程度: 不利益の程度が大きいほど、合理性は厳しく判断されます。例えば、賃金や退職金の減額は、従業員の生活に直接的な影響を与えるため、より慎重な検討が必要です。代償措置や経過措置の有無も不利益の程度の判断の重要な要素となります。
- 労働条件の変更の必要性: 経営状況の悪化や事業内容の変更など、労働条件を変更する必要性が高いほど、合理性が認められやすくなります。
- 変更後の就業規則の内容の相当性: 変更後の就業規則の内容が、社会通念に照らして妥当であるかどうかが判断されます。
- 労働組合等との交渉の状況: 労働組合や従業員代表との間で十分な交渉や協議を行ったかどうかが考慮されます。
- その他の就業規則の変更に係る事情: 上記以外にも、変更に至った経緯や目的、同業他社の状況などが考慮されることがあります。
不利益な変更を行う場合には、従業員に対して変更の必要性や内容を丁寧に説明し、理解を得ることが不可欠です。
可能であれば、個別の同意を得ることが望ましいです。
労働組合がある場合には、労働組合と十分に協議し、合意を得ることも重要です。
まとめ
就業規則の変更は、企業の健全な運営と労使間の良好な関係を維持するために不可欠なプロセスです。
特に、従業員にとって不利益となる変更を行う場合には、労働契約法上の原則や合理性の判断基準を十分に理解し、慎重に進める必要があります。
社労士の専門知識を活用することも、円滑な変更手続きと法令遵守の観点から有効な手段と言えるでしょう。