原田昌彦社会保険労務士事務所コラム

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厚生年金保険・健康保険適用拡大の方向性

被用者保険(厚生年金保険・健康保険)については、継続的に適用拡大が実施されてきました。

現在、短時間労働者に対する被用者保険の適用範囲は段階的に拡大されており、直近では令和6年10月から、厚生年金保険の被保険者数が51人以上の企業等で働く四分の三未満短時間労働者が加入対象となっています。

今後も引き続き適用拡大される方向で議論が行われています。

ここでは、今後の被用者保険の動きを把握するため、令和7年4月以降の議論の状況を以下に整理します。

論点 詳細
企業規模要件の撤廃 現在、従業員数50人以下の企業は短時間労働者の社会保険加入が義務付けられていませんが、この要件を撤廃し、より小規模な企業にも適用を拡大する方向で議論されています。
賃金要件の撤廃または引き下げ

現在、短時間労働者が社会保険の適用対象となるためには、月額賃金が8.8万円以上であることが要件の一つですが、この要件について、撤廃またはより低い水準への引き下げが議論されています 。

最低賃金が上昇し、週の労働時間を満たせば自動的に賃金要件を満たす状況になることに合わせて賃金要件は撤廃される見込みです。

個人事業所への適用拡大 現在、従業員5人以上の個人事業所の場合、厚生年金の加入対象は限定された業種のみ(法定17業種)ですが、全業種への拡大が議論されています。
週所定労働時間要件の引き下げ

現在、短時間労働者の適用要件の一つに、週の所定労働時間が20時間以上であることが挙げられますが、この要件を雇用保険と同様に引き下げるべきとの意見が出ています。

雇用保険では令和10年10月に所定労働時間10時間以上に緩和される予定です。

これらの議論は、働き方の多様化や「年収の壁」問題への対応、社会保障制度の持続可能性の向上などを目的として行われています. 今後、これらの議論を踏まえ、具体的な制度改正の内容やスケジュールが決定される見込みです。

 

参考

第20回 社会保障審議会年金部会 資料:

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/nenkin_20241115.html

社会保障審議会年金部会における議論の整理(令和6年12月25日):

https://www.mhlw.go.jp/content/12501000/001364986.pdf