
はじめに
平成25年4月1日に改正労働契約法が施行され、「無期転換ルール」が導入されました。
これにより、有期労働契約が繰り返し更新されて通算5年を超えた場合、労働者の申し込みにより、無期労働契約に転換されることになりました。
一方で、専門的な知識等を有する有期雇用労働者や、定年後引き続き雇用される有期雇用労働者については、無期転換ルールの特例が設けられています。これが「有期雇用特別措置法(有期特措法)」です。
本記事では、この有期特措法に基づき、高度な専門的知識等を有する有期雇用労働者や60歳以上の有期雇用労働者(以下「特定有期雇用労働者」)を対象とした「第二種計画認定申請」について、その概要、メリット・デメリットなどを分かりやすく解説します。
通常の有期雇用契約の無期転換のメリット・デメリット
まず、第二種計画認定申請を理解する前提として、通常の無期転換ルールにおけるメリットとデメリットを整理しておきましょう。
| 項目 | メリット | デメリット |
| 労働者側 | ・雇止めの不安が解消され、雇用が安定する |
・必ずしも待遇(給与、役職など)が向上するとは限らない ・希望しない配置転換や転勤の可能性が出てくる場合がある |
| 企業側 |
NA(労働者の権利) |
・人件費が増加する可能性がある(特に賞与や退職金制度がある場合) ・雇用の柔軟性が低下する ・能力や実績に見合わない場合でも雇用継続が必要になる場合がある |
第二種計画認定申請とは?
有期特措法に基づく「第二種計画認定申請」とは、高度な専門的知識等を有する有期雇用労働者や60歳以上の有期雇用労働者について、その特性に応じた雇用管理に関する特別な措置を講じる場合に、都道府県労働局長の認定を受けることで、無期転換申込権が発生しない期間を定めることができる制度です。
具体的には、以下の2つの類型があります。
- 第一種計画認定申請(高度専門型): 高度な専門的知識、技術または経験(以下「専門的知識等」という。)を有する有期雇用労働者が、その専門的知識等を活かして、期間の定めのある労働契約で働く場合に、一定の期間(最長10年)は無期転換申込権が発生しないとするものです。
- 第二種計画認定申請(定年後継続雇用型): 定年後引き続き雇用される有期雇用労働者について、適切な雇用管理に関する計画を作成し、都道府県労働局長の認定を受けた事業主の下で、定年後引き続き雇用される期間は、無期転換申込権が発生しないとするものです。
本記事では、主にこのうち第二種計画認定申請に焦点を当てて解説します。
第二種計画認定申請の効果
第二種計画認定申請を行い、都道府県労働局長から認定を受けることによる最も大きな効果は、定年後引き続き雇用される有期雇用労働者について、その認定を受けている期間は無期転換申込権が発生しないという点です。
これにより、企業は経験豊富な高齢者の知識やノウハウを活用しやすくなります。
申請が推奨される会社
第二種計画認定申請は、以下のような特徴を持つ会社に特に推奨されます。
- 60歳以上の有期雇用労働者を多く雇用している、または今後活用していきたいと考えている会社
- 特に、定年退職者の再雇用制度を設けており、多くの社員が継続雇用を希望している場合。
- 経験豊富な高齢者の知識や技能を活かした事業運営を行いたい会社
- 若手への技能承継や、特定の業務における高齢者の専門性を重視している場合。
- 高齢者の多様な就労ニーズに対応し、柔軟な雇用管理を行いたい会社
- フルタイム勤務だけでなく、短時間勤務など、個々の状況に合わせた働き方を許容したい場合。
- 無期転換ルールの画一的な適用による人件費の硬直化や、高齢者の雇用機会の減少を避けたい会社
- 企業の状況や高齢者本人の希望を踏まえ、個別の雇用契約に基づいた柔軟な運用を継続したい場合。
参考
無期転換ルール及び有期特措法に基づく第二種計画認定申請について|大阪労働局
【厚労省】無期転換ルールの特例について
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000818696.pdf