原田昌彦社会保険労務士事務所コラム

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100歳時代を生き抜く新常識!年金戦略の鍵「WPP理論」とは?

「人生100年時代」といわれる今、老後の生活設計に不安を感じている方は少なくありません。 かつてのように「60歳で退職して、あとは年金で暮らす」というモデルが難しくなる中で、新しい老後資金の考え方として注目されているのが「WPP理論」です。 今回は、このWPP理論の仕組みと、賢い年金の受け取り方について解説します。

WPP理論の「3つの柱」

WPP理論とは、現名古屋経済大学教授の谷内陽一氏らが提唱した概念で、以下の3つの頭文字をとったものです。 * W:Work longer(長く働く) * P:Private pension / assets(私的年金・資産形成) * P:Public pension(公的年金) この理論の核心は、「公的年金の受給開始を遅らせて、その間の生活費を『就労(W)』と『資産(P)』で賄う」という点にあります。

ステップ1:Work longer(長く働く) まずは、65歳以降も可能な範囲で働き続けることです。 現代の60代は非常に若々しく、知識も経験も豊富です。フルタイムでなくても、パートタイムや業務委託などで収入を得ることで、「公的年金に手を付けない期間」を作ることが最大のポイントです。

ステップ2:Private pension(私的年金・資産形成) 長く働くといっても、現役時代と同じ収入を維持するのは難しいかもしれません。 その不足分を補うのが、iDeCo(個人型確定拠出年金)や企業型DC、NISAなどで準備した「自分年金」です。 これらを「65歳から70歳(または75歳)」までの「つなぎ資金」として活用します。

ステップ3:Public pension(公的年金) 最後にして最大の柱が、国の「公的年金」です。 日本の年金制度には、受給開始を遅らせることで年金額が増える「繰下げ受給」という仕組みがあります。 * 1ヶ月遅らせるごとに:0.7%増額 * 70歳まで遅らせると:42%増額 * 75歳まで遅らせると:84%増額 この増額された年金は「一生涯」続きます。早くから年金を取り崩すのではなく、WとPで時間を稼ぎ、「増額された公的年金」を一生続く強力な個人年金に変える。これがWPP理論の戦略です。

なぜWPP理論が「最強の出口戦略」と言われるのか

私たちが最も恐れるべきは、「長生きしすぎて資産が底をつくリスク(長生きリスク)」です。 貯金や私的年金はいずれ底をつきますが、公的年金は死ぬまで支給されます。 WPP理論によって公的年金のベースを底上げしておくことは、どんな金融商品よりも強力な保険になります。 「何歳まで働くか」「いつから年金をもらうか」は、個々の健康状態や資産状況によって異なります。 当事務所では、企業の福利厚生として従業員向けのライフプラン研修や、個別の年金相談も承っております。

参考資料 公的年金と私的年金の 新たな役割分担「WPP」とは https://www.mhlw.go.jp/content/10600000/001020919.pdf